<旅の総括>

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 旅の目的・手段は人によって異なります。余暇を楽しむための旅、学ぶための旅、チャレンジするための旅等・・・。旅をする手段・スタイルも様々だと思います。ただひとつ共通して言えることは、目的や手段に関係なく旅は楽しいものです。私の旅は、自転車で日本一周をするものでした。

 自転車の旅は、楽しくもある半面、時には苦しさや孤独との闘いも伴うものです。いずれにせよ次の三点をとりあげることで、「自転車で日本一周の旅」の総括としてみました。

 取り上げる項目、@人との出会い、 A耐える心、 B弱者切り捨ての日本の道路事情、についてです。

 まず初めに、「人との出会い」についてです。
 自転車の旅を通じて得た最大の利点、それは多くの方との出会いです。人との出会いは、決してお金で買うことができません。具体的には、旅をする過程で見ず知らずの私に「名前、住所、電話番号」を教えて頂いた上に、自宅で寝てください、とまでのご親切なお言葉をかけて頂くことが出来たことです。

 せちがらい今の世の中で、他人に自身の「名前・住所・電話番号」を教えることは、かなり勇気のいることです。にもかかわらず、いとも簡単に真心をこめて自宅へ招いてくれるための手段を取って頂いた訳ですから。地方都市においては、まだまだ心の優しい方が多くおられることを知りました。

 旅で受けたご厚意を生涯忘れることができませんし、今でも私の心に鮮明に残っています。ところが、3月11日起きた「東日本大震災」以後、今でも「あの方、大丈夫なのかな・・・」との思いが脳裏から消えることがありません。ホームページを通じてですが、お世話になった方々につきまして、改めて、走行中でのご厚意に対して心からお礼を申し上げます。また、ブログを通じて、多くの方々に応援のことばやメッセージを頂くなど、励ましを頂戴いたしました。誠に有難うございました。走行するうえで、私にものすごく勇気と活力を与えて頂くことができました。

 次に「耐える心」についてです。
 日本一周を達成するためには、幾つかの困難に遭遇するものです。パンクは当然のことですが病気や思わぬ怪我や事故があるかもしれません。また夜間になると多くの場合が単独で寝る必要があります。ヘタレな根性では、寂しい夜を過ごすことは当然、出来ません。

 私自身も体調に異変をきたしたこともありました。また、炎天下や雨の中を黙々と走ったことが幾度となくありました。当然、重い荷物を載せた自転車で激坂を上ることもありました。しかしこれら様々な体験を通して、「耐える心」を培うことが出来ました。

 九州の道の駅で50歳代の男性との出会いがありました。彼はある事情によりママチャリで東京を出発されてから九州周回へ入った途中、彼との出会いがあったものです。私との会話の中で彼は、「僕に息子がいたら、必ず日本一周をさせます」との思いを、私に伝えてきました。この考えは私と共通するものでした。

 最近メディアを通じて、息子が家族を殺傷する等の嫌な事件が起きていることに気付きます。どこに原因があるのでしょうか・・・? 勿論、本人でなければその心を推し量ることはできません。ただひとつ言えることは、父の権威のなさに加えて、子供自身にも「耐える心と、自分で稼いで飯を食う」この両面について欠如していように思えてなりません。このことを含めて考えると、「かわいい子には旅をさせよ」の諺のように、子どもに苦難の旅をさせることは、本人にとってものすごく有意義であることは間違いありません。

 3年ほど前のことでしたが、バイク雑誌の企画の中で、大学生が50ccのバイクで日本一周(都道府県の県庁へ立ち寄ること)をされている様子が、写真とレポートを通じて知ることが出来ました。旅日記のなかで彼は、野営で過ごす夜の孤独さと寂しさに押しつぶされそうになる我が心について綴られていました。

 このような旅は、私の経験上から言っても、完走後は必ず本人にとって、「将来の糧」になることは間違いありません。

 私は過去の生活で、日々何かと不平不満が先行していたように思います。旅を通じて感じたことですが、「日々食事ができること、家で寝られること、健康であること」、実はこのことだけでも、本当は、すごく幸せなことなのです。私の感性がずれてしまっていることに気付かされました。ささやかな体験であるかも知れませんが、このようなことを経験しながら生きるために必要な耐える心を吸収させて頂くことができました。

 最後になりましたが、「弱者切り捨ての日本の道路事情」についてです。
 日本の国道は車優先で弱者切り捨ての道路事情であることに気付きました。これは乗用車や自動二輪車以外の手段で日本一周をされた経験者であれば、必ず感じることです。

 具体的には、なくてはならないはずの場所に標識がないケースが随分ありました。時折、走行車線がバイパスになるケースがあるわけですが、道順を外れると概して不案内です。更にひどい時は、走っている国道が突然、バイパスに変わるケースです。標識が明確でないため、そのまま進入してしまうことさえありました。

 時代と共に旅をする目的や手段も随分と様変わりしているはずです。外国人の方が自転車で日本一周をされていることも決して珍しいことではありません。また私のように自転車で日本一周を目指す者や徒歩で日本一周をされている方、かと思えばヒッチハイクで旅をされている青年もおられました。もっとすごいのは、リヤカーを引きながら旅を続けている方もおられました。

 旅の手段が何であれ、誰もが安心して旅が出来るためには、車と同様、弱者用の進入路や進入禁止標識を設置してほしいものです。